総合型選抜 学校推薦型選抜 対策|特徴・合格のポイント・必要準備の完全攻略|オンライン+対面【二重まる学習塾】

総合型選抜とは? –特徴・流れ・対策 完全ガイド-

 大学の推薦入試の1つである総合型選抜とは、どの様な入試制度であるのか?その名前自体の認知度は広がってまいりましたが、その内容に関してはまだ正しく認知されていない部分もあります。ここでは、その内容のことを中心にご説明したいと思います。旧称のAO入試や他の推薦入試と比較し、総合型選抜とは何か?という多くの方が疑問に思っていることに対し、少しでもわかりやすく説明いたします。

目次


■ 1. 総合型選抜とは? ~基礎から解説~

 総合型選抜は、「大学が求める学生像(アドミッション・ポリシー)」に対し、受験生がどれだけ適合しているかを総合的に判断する入試方式です。この総合型選抜という入試を理解するには、AO入試や学校推薦型選抜など他の推薦入試との比較が有効ですが、入試名称は大学ごとに異なるため、名称だけで内容を判断するのは難しい側面もあります。
 そもそも総合型選抜とよばれる入試は、旧AO入試が大学入試改革により名称変更されたものです。かつてのAO入試が、一芸評価や合格時期の早さなどを問題視されたことから、多面的・総合的に受験生を評価する仕組みに改められました。自己推薦や学校推薦型選抜との違いは、校長推薦の有無や評価の比重にあり、総合型選抜は活動実績・小論文・面接など多面的評価が特徴といえるでしょう。このように全体として、受験生の資質や意欲を多角的に判断する入試であるといえるのです。

✅評価される主な要素

・志望理由・学部との適性
・大学で何を学び、何を実現したいか
・将来のビジョンの明確さ
・高校時代の活動実績
・人物像・価値観
・小論文やレポートの思考力
・面接での表現力・論理性

 総合型選抜では、後述する学力の3要素が受験生に備わっているかを入試で測り、それを元に合否を決めることになります。
 まず学力の3要素の1つ目が「知識・技能」です。これらは評定、資格、筆記試験などで測られます。私立大学などでは一般入試においても2科目・3科目入試となっているなど、決して5教科全ての知識が必要というわけではありません。したがって総合型選抜においても、英語の評定だけを見る、英語の資格の有無を確認する、英語に筆記試験だけを行う、という大学も多くあります。
 2つ目が「思考力・判断力・ 表現力」です。これらは主に、小論文、プレゼン、面接、グループディスカッション等でその能力が測られます。判断力等に関しても、例えば小論文ではグラフや表を与え、それが何を示し、この先どのようなことが予見できるかといったことから、その能力が測られます。
 3つ目が「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」となり、体性や協働に関してはたとえば高校の頃の生徒会やボランティア活動の経験があれば加点の対象にしたり、グループディスカッションやグループワークを課すことでその資質が測られるのです。つまり受験生は、高校生活で多種多様な活動に取り組むことが必須となります。最近では、高校が用意する各種活動に参加するだけではなく、校外の活動に参加することでより高い評価を得られるケースも増えています。
 これら学力の三要素を嚙み砕きわかりやすくすれば、以下のようなことが評価される入試であるということができます。つまり総合型選抜を目指すのであれば、ある程度の評定があり英検や漢検といった資格を取得すると良いことになります。そして、そうした学習の面のみならずボランティア活動や探求活動を行い、小論文やプレゼンテーションといった試験対策をすることが必要となります。この入試の受験を希望する高校生の中には、優れた活動実績のみで合格が可能だと考える方も一定数います。それはたしかに1つの大きな武器になるといえますが、学力の3要素すべてが評価されるという総合型選抜の特性上、それだけでは合格は難しくなるというのが実情です。

・知識や技能     ➡評定や資格
・思考や判断力や表現力➡小論文やプレゼンテーション
・主体性や協働性   ➡活動や探求の実績

■ 2. 総合型選抜の流れ(出願〜合格まで)

 総合型選抜は、出願は9月1日以降、合格発表は11月1日以降というのが基本的なルールになっています。早いところですとこのルール通り、9月1日から出願を受け付け、11月1日に合格発表を行う大学も数多く存在します。もちろんここから後ろにずらす大学も多くあるわけですが、多くは以下のようなステップで進んでいくこととなります。
 ただこれは、あくまで試験の流れでになります。受験生は出願が始まるまでに、英検をはじめとした資格を取得したり、様々な活動を行ったり、受験先の候補となる大学で行われるオープンキャンパスや説明会に参加するなどしなければなりません。多くの場合、高校2年生から高校3年生になる春休みにそうした対策をし始めるのですが、英検の取得や部活を優先する生徒は高3の6~7月からという生徒もいます。また十分な活動実績を積み上げていこうとするのであれば、高2の秋から冬頃から動き始める生徒も珍しくはありません。

総合型選抜の流れ
説明会やオープンキャンパスへの参加(6月〜8月)
出願(9月1日以降~)
・志望理由書の提出課題レポート
・活動報告書の提出
1次選考(9月~11月)
2次選考(10月~12月)
最終合格発表(11月1日以降)

■ 3. 総合型選抜で“受かる生徒”の特徴

 合否の基準がよく分からないといわれることも多いのが、総合型選抜です。たしかに一般入試と比較すればが、どうすれば得点が積み上げられるのか、そもそも何がどう評価されるのかといったことが明確とはいえません。それは大学や学部ごとに基準が異なるからというのが大きな理由といえるのですが、それでも大学ごとの評価基準は存在しておりますので、受験生はそのことを把握し、闇雲な努力ではなく理にかなった準備をすることが求められます。
 その上でまず大切になるのは、「私はこの大学で〇〇を実現したい」という軸でしょう。総合型選抜では、大学で何を学び、どのような将来像を描いているのかという“軸”が明確であることが重要です。自分が解決したい社会課題や追究したいテーマを示し、その実現に大学の教育内容や研究環境がどう結びつくのかを具体的に語れる受験生が高く評価されるのです。
 次に大切になるものが「高校時代の活動経験を言語化できているか」ということです。先ほど挙げた軸に関して、ただ興味があるという状態ではなく、その興味関心にしたがって活動や研究をしてきたという方が、説得力が増します。総合型選抜ではよく、ボランティアをはじめとした活動実績が大切だといわれます。しかしながら、活動経験そのものよりも、その経験から何を学び、どんな価値観や視点を得たのかを論理的に説明できる力が求められます。部活動・ボランティア・自主研究など、日常の取り組みを「背景→行動→学び→今への影響」の流れで整理し、大学での学びにつながる形で言語化することが重要です。
 そして実際に書類にまとめる際に確認しておかなければならないことが、「アドミッション・ポリシーに合った表現」です。大学ごとに掲げられているアドミッション・ポリシーに沿って、自分の経験や志望理由を結びつけて説明できることが合否を左右します。大学が求める人物像を理解し、それに合致するエピソードや学びたい内容を示すことで、「この大学に適した受験生」であることを説得力をもって伝えられます。

総合型選抜で"受かる生徒"の特長
1. 私はこの大学で〇〇を実現したい」という軸が明確
2. 高校時代の活動経験を言語化できている
3. アドミッション・ポリシーに合った表現ができている

■ 4. 一般入試との違い

項目総合型選抜一般入試
評価基準思考力・経験・意欲・適性学力(筆記試験)
準備早い時期から必要秋〜冬が本番
必要な力表現力・文章力・構想力学力特化
合格の決め手志望理由や小論文などの表現力得点力
 総合型選抜は大学入試の1つの形態として定着しつつありますが、どうしても一般入試より楽だから、という理由でこちらを選択する受験生が多いことも事実です。たしかに一般入試では手が届かない大学を目指す受験生がほとんどではあるものの、それでも「勉強が苦手でも受かる」という認識でいると、なかなか合格はできないといわざるを得ません。
 総合型選抜は、早い時期からの準備が必要なため、受験生にはある程度の計画性が必要になります。さらに受験する大学や学部、さらには社会課題に関する調査力、そして未来を見据えて自らの気持ち書き表す表現力や文章力、そして学習計画や小論文の作成においては構想力などが求められます。
 つまり総合型選抜においては、一般入試とは異なる高い専門性が必要となる点が大きな違いなのです。 

■ 5. 志望理由書の書き方(基礎)

大学の理念・アドミッションポリシーとの一致

 志望理由書では、大学や学部が掲げる理念やアドミッションポリシー(AP)を理解し、自分の興味・価値観がどの部分と一致しているのかを具体的に示すことが重要です。アドミッションポリシーとは「入学者受け入れ方針」とよばれるものであり、そこにはどういった人物を求めているかが書き記されています。
 つまり、大学理念やアドミッションポリシーをよく読み、そして大学がどういった人物を求めているかを十分理解し、自分の強みや経験、さらには思いをそれに近づけるようにすることが重要なのです。反対にいくら良いことを書いたとしても、アドミッションポリシーにそぐわなければ大学の受け入れ方針にはそぐわない人物であるとの評価を受けてしまうことになるのです。

学びたい内容と研究テーマ

 日本の大学の推薦入試は、学問との一致をかなり重視します。よって志望理由書には、大学で取り組みたい学問分野や興味のある研究テーマを、できるだけ具体的に書き記さなければなりません。何を学びたいかということにとどまらず、関心を持つ理由や、そのテーマを深めることで何を明らかにしたいのかを説明すると、さらに説得力が増すことでしょう。さらに、高校時代の経験や現在抱えている問題意識と結びつけることで、学びの方向性が一貫したものとして伝わります。
 もちろんそうした学問に関する記述は、それなりの専門的知識が必要になります。ですがただそれだけではだれでも書ける文章になります。ですので、自らの経験や思いを盛り込むことも重要になります。

将来の目標

 大学とは決して学生の自己実現の場所のみならず、そこで作り出され蓄積された知識や技術を、社会に還元するという目的も有しています。ですので多くの大学では学生に対して、大学での学びをどう活用したいかを問い、それはつまりどう社会に還元しようとしているかを問うていることになるわけです。
 ですから志望理由書には、大学での学びを通してどのような進路や社会的役割を目指すのかを示す必要があるといえます。将来の目標を「実現したい姿」「解決したい課題」といった形で描き、そのために大学でどのような知識や能力を身につける必要があるのかを述べることで、学びへの意欲の高さをアピールできます。

その大学・学部でなければならない理由

 総合型選抜に限らず推薦入試においては、ほとんどの場合、書類や面接において志望理由が問われることとなり、それはその大学が第一志望という前提となります。したがって、数ある大学の中で、その大学・学部を選ぶ理由を具体的に示すことが不可欠です。カリキュラム、研究分野、指導教授、実習・フィールドワーク、理念など、他大学では得られない特色を挙げ、それらが自分の学びや目標とどう結びつくのかを説明することで、「この大学でなければならない理由」が明確になります。
 もちろんそうしたものは、大学のパンフレットやインターネットなどで大学のことを調べる必要があります。ただそうした情報だけを書き記すと、他の受験生と変わり映えしないものになってしまいます。ここでもやはり自らの気持ちを書き記すことで、唯一無二のものになるのです。つまり、個人の気持ちを書き表すわけですので、感情論も大切になってくるわけです。

自分の経験との関連性

 日本の大学で行われている推薦入試は、学問との一致がかなり重要視されます。それは大学入学後どのような学問研究をしたいかということを志望理由書に書き表すわけですが、そもそもそうした興味関心を持ったきっかけは何なのか、そしてそうした興味関心に対して何をしてきたのか、そうした者のために活動実績は必要になるのです。
 先にも述べておりますが、総合型選抜ではボランティアをはじめとした活動実績が重視されるケースも珍しくはありませんが、高校時代の経験や活動を単なる実績としてアピールするのがこの入試の本質ではありません。それら活動と、自身の学問的な志望分野への興味および問題意識と、どのように繋がるのかを説明することが重要です。経験の背景、そこでの学び、気づいた課題、それが現在の志望理由にどのように影響したかを一貫した流れで示すことで、志望理由書全体に説得力とストーリー性が生まれます。

■ 6. 小論文、面接対策の基本

 大学入試の小論文は、大別すると指定個所(傍線部)の説明、グラフ読み取り、要約、意見論述、これら4つが出題されます。指定個所の説明は現国で取り組んでいるので詳細は省きます。グラフ読み取りはまず、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど、グラフの種類によって示されれいることが異なるという認識を持つことから始め、さらにはどのグラフにおいても「有意差」を読み取ることが求められることを念頭に置きましょう。そして要約に関してですが、多くの受験生は短縮になっておりますので、短縮と要約の違いは何なのかを知る、ただそれだけで多くの受験生と差をつけることが可能になります。
 最後に意見論述に関してですが、「結論から書け」というやり方をよく耳にします。それは結論先行型という書き方であり、たしかにそうしたやり方があることも事実です。しかしながら、すべての小論文が結論先行型が最適な書き方ではありません。たとえば法学部の小論文でよく用いる法的三段論法では、結論はやはり最後です。さらに、主題と結論が一致する場合は結論先行型が望ましいとはいえますが、それがすべてではありません。もちろん、主題と結論が一致しない場合は、結論先行型の書き方は避けるべきです。
 つまり、「小論文は結論から書く」と認識しているのであれば、それは小論文で必要な知識の10%ほどしか有していないといわざるを得ないのです。そもそも論文とは、アリストテレスの『弁論術』に由来するものであり、論理的に説得する文章こそ、小論文の本質であるといえるのです。
 また面接においても、小論文と同様に「説得の技法」が本質であり、その基盤はアリストテレスの『弁論術』にあります。このような質問にはこう答える、たしかにそうした想定質問に対する練習も必要で、決して否定は致しません。
 ですが多くの受験生は小論文においても面接においても、そうした表面的なやり方にのみ意識を向け、なかなか本質的な部分に目を向けようとはしません。小論文においても面接においても、テンプレに合わせることで原点はされないとしても、加点されないのも事実です。とりわけ倍率が3倍を超えるような大学を目指す受験生は、減点されないということに意識を向けるのではなく、より加点されること、つまりは本質に目を向けると良いでしょう。

■ 7. 活動実績の作り方

 総合型選抜では、一部の大学でボランティア経験が必須となっていたり、出願資格にはないものの高く評価されることがあります。しかしながら、そうした直接的な評価につながらない場合でも、何らかの活動は行っておくべきだといえるでしょう。
 何度も書いてきたことですが、日本の大学の推薦入試は学問への接続が重要視されます。その学問研究を志す気持ちの大きさは、口で伝えるよりも活動という経験で伝える方が説得力は増します。また、研究したいという内容は独自性あるものの方がよく、そうしたものに行きついた経緯の説明においても、やはり活動の中からという方が自然だといえるでしょう。このように、活動実績に関しては「大きさ」ではなく、そこから何を学び、どのような問いを持ったのか、ということが重要なのです。
 ですので、まずは現在の自分の興味・関心や将来の目標に関連するテーマを定め、そのテーマにつながる経験を積み重ねていくことを心がけましょう。また、1つの大きな成果よりも、小さくても継続した取り組みが評価されやすい傾向があります。活動は「量より質」であり、自分の関心から自然に生まれた行動であるほど説得力が増します。最終的には、その経験が志望理由や研究テーマとどのようにつながるのかを明確に示すことで、大学が求める人物像に合致した「意味のある実績」になるのです。

■ 8. 大学別の総合型選抜の違い

総合型選抜といっても、大学や学部によってその選抜方法はまちまちです。ではどのような形式で行われているのかを、ここではパターン別に紹介していきたいと思います。

書類+面接(プレゼン)のみ+出願資格なし
慶應義塾大学 総合政策学部と環境情報学部のAO入試は、書類と面接のみの試験。出願資格もなし。
立命館大学 文学部のAO入試人文学プロポーズ方式は、書類と面接のみ。出願資格もなし


活動実績を重視
青山学院大学 コミュニティ人間科学部では、出願資格として1年以上のボランティア活動が必要になる。
同志社大学 社会学部教育文化学科においては、「教育と文化に関する活動」が出願資格となっている。
西南学院大学 外国語学部や経済学部で活動実績型という入試方式がある。
立命館アジア太平洋大学 すべての学部を対象とした活動アピール方式という入試方式がある。


留学経験を重視
法政大学 留学経験者のみを対象にしたグローバル体験公募推薦という推薦入試がある。
南山大学 10ヶ月以上の留学経験者を対象とした学校推薦型選抜がある。
関西学院大学 海外留学経験者が出願資格の1つとなっている、グローバル入試がある。


英語資格を重視
明治大学 グローバル型特別入試は、英検準1級・TEAP285などの外国語資格がある受験生だけが受験可能。
立教大学 一定の英語スコアがあれば国際コース選抜入試が受験可能。自由選抜入試との併願も可能。
中央大学 英語運用能力特別入試は、一定の英語スコアがある受験生だけが受験可能。
筑波大学 推薦入試では規定の英語スコアを超えている受験生には加点。


論文重視
お茶の水女子大学 文系学部の新フンボルト入試は、図書館で6時間かけ論文を書く。
上智大学 活動実績よりも論文などの筆記試験重視。
関西大学 文学部のAO論文評価型は事前に6000文字ほどの課題レポートの提出。

共通テスト不要の国公立
国際教養大学, 東北大学, 筑波大学, お茶の水女子大学, 茨城大学,
横浜国立大学, 横浜市立大学, 都留文科大学, 静岡大学, 金沢大学,
神戸大学, 神戸市外国語大学, 叡啓大学, など多数あり

■ 9. 総合型選抜の落ちる原因

 総合型選抜で不合格になる受験生には、いくつか共通する原因があります。ここではそのことについて説明していきますので、まずは自身が総合型選抜を受験する価値があるのかを見極め、受験すると決めた場合は、実際の準備で以下のことを参考にしてもらえたらと思います。

評定・欠席日数英語などの資格
 出願資格とはなっていないものの、評定や低い場合や欠席に数が多い場合には、それだけで不合格になってしまうケースも少なくありません。この基準は大学によってまちまちであり、一切関係ないという大学も存在しますが、有名大学を受験する場合ですと評定は少なくとも3.5以上、欠席日数は3年間で30日以下であることが望ましいといえます。また、出願資格として設定はされてはいないものの、英検などの資格がないとそれを超えるような実績がない場合は合格が難しくなる大学や学部が存在することも事実です。

アドミッションポリシーと志望理由書の不一致
 推薦入試はあくまで、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)に示されている、大学が求める人物像に合致することが合格の前提になります。つまり、自分の経験や価値観がどう適合するのかを志望理由書などに示されていなければ、合格の必然性を示せません。大学の理念や学部の特色をよく確認せず、自分の関心がどのように結びつくのかを具体的に示していない。ただの一般論や入りたい理由だけを書いているようでは、なかなか合格に至らないでしょう。

自己分析不足
 推薦入試において活動経験は重要ですが、その背景や学んだこと、価値観の変化を語れない場合、大学側から思考が浅いと判断されます。さらに大学入学後に学びたいことも、良く調べたもののそれが単なる一般論でそこに自分の気持ちが反映されていない場合には、良い評価を得られません。
 総合型選抜はよく、お見合いにたとえられます。相手に自分の何をアピールするのか、それがなければ自分が相手に選ばれることはなかなかないといえるのです。

志望理由書に偏った対策
 総合型選抜において志望理由書はたしかに重要なのですが、それだけで合格できる大学は数少ないといえます。配点が公表されている大学を例に挙げると、例えば名古屋にある南山大学の外国語学部は、以下のような配点になっています。
ここからわかる通り、小論文や面接の配点の方が明らかに高いため、これらの対策をせずに志望理由書だけを良いものにしても、合格には至らないのです。

南山大学外国語学部の配点
書 類 100点
小論文 200点
面 接 150点

■ 10. まとめ:総合型選抜は“戦略で決まる”

 総合型選抜は、一般的に「勉強が苦手でも受かる入試」と誤解されることがあります。しかし実際には、思考の深さ、経験の整理、大学との適合性など、複数の要素を総合的に判断される入試であり、勉強と同じく準備量が結果に直結する入試方式なのです。
 総合型選抜では併願が可能な大学も多くあり、さらには倍率の徐々に高まってきていますので、どんな大学を受験するのか、その選び方で対策や準備の効率が全く異なりますので、まずは受験パターンの戦略が必要だといえます。
 そしてどんな活動をすべきかといった活動の戦略、さらには志望理由書・活動報告書・自己推薦書などの書類戦略、これらの一貫性を作り上げることが重要なのです。
 そして受験期には、知識量よりも論理的に問題を設定し自分の意見を筋道立てて説明する力が問われる小論文の対策や、志望理由書と矛盾なく、自分の考えを簡潔かつ具体的に語れるかが評価される面接の対策が必要となります。これらは大学に対して直接自らの人間性や思考を表すことが出来る場となりますので、これら小論文や面接においては発信力の戦略が必要となります。
 このように、総合型選抜はどれだけ大学を調べ、どれだけ準備したかで勝負が決まる入試です。だからこそ、表面的な対策ではなく本質は何かを考えて捉えることが、合格への最短ルートとなります。

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