■志望理由書とは？目的と評価ポイント
志望理由書とは、志望する大学・学部を選んだ理由を明確に説明するものです。自らがなぜその大学でなければならないのかを論理的に示すとともに、大学入学後にはどのように過ごし、それを将来どう生かすのかを文章で伝えるものなのです。総合型選抜をはじめとして推薦入試では、学力試験だけでは測れない適性・意欲・将来性などを評価するため、志望理由書は非常に重要な資料として扱われます。
■志望理由書はなぜ総合型選抜で重要なのか
総合型選抜は、学力試験よりも意欲・適性・思考力を重視する入試です。そのため、この入試では受験者の人間性やこれまでの生き方を見ることは当然であり、そのための材料がとして用いられるのが志望理由書になります。
大学が志望理由書で最も知りたいのは、①大学や学部への適合度、②高校での学びや経験とのつながり、③入学後の学習計画、④将来の目標が現実的かどうかの4点です。単に、この大学に入りたいという願望ではなく、受験生がどのように学び、どう社会に貢献しようとしているかを大学は見ているのです。
さらに、志望理由書は面接や口頭試問の材料としてもつかわれます。文章の内容と面接での発言に一貫性があり、論理性・具体性・独自性があるほど面接の評価が高まります。つまり志望理由書は、受験生の希望と大学の求める人物像とが結びついているかどうか、それらを見極めるために用いられるものなのです。
■評価が低いNG例
志望理由書で最も多い失敗は、例えば「歴史が好きだから」「心理学に興味があるから」という願望にしかなっていないものです。それだけでは説得力が不足し、大学側は「なぜ本学部なのか」を判断できません。
また内容が「一般論」や「誰にでも当てはまる文章」になってしまうものもよくありません。本や論文などを調べて書いたとしても、それは単に高度な一般論にしかならず、こういったものも評価は高まりません。とくに今では生成AIが良い文章を作ってくれるようになり、そうした誰にでも作れる文章では評価が高まるはずがないのです。
さらに、大学案内のコピーのような文章もNGです。「学部の理念に惹かれました」「オープンキャンパスで雰囲気がよかった」という内容のものをよく見かけますがは、そうしたものも良くありません。志望理由書は“あなた自身の経験・課題意識・価値観”と結びつけて書く必要があるのです。
そして「過去の出来事の羅列」もよく見かけますが、それも評価が低いままです。体験そのものよりも、その経験から何を学んだかが重要ですので、体験 → 学び → 志望理由 → 将来像 の流れができているものは、読み手に強い印象を残すことができるのです。
■合格する志望理由書の構成
先ほどのNG例の最後にも触れましたが、合格する志望理由書には、明確な構成があります。おすすめの書き方の一例としては、次の4部構成が挙げられます。この4つが一貫していれば、大学側に「この学生は本気だ」「学部とのミスマッチがない」と確信してもらえます。文章力も確かに重要なのですが、それ以上に構成の強さが合否を左右すると言っても過言ではないのです。
１．志望動機（なぜその学部なのか）
自分の興味・問題意識と、学部の学びがどのようにつながるのかを示します。
２．過去の活動・経験（高校での努力や探究との接続）
体験を並べるのではなく、「なぜその活動をしたのか」「何を学んだか」を中心に書きます。
３．入学後の学習計画（どんな授業・ゼミで何を学びたいか）
具体的な授業名・教授名・研究領域を挙げると説得力が増します。
４．将来の目標（4年後・10年後など）
大学での学びが将来にどのようにつながるのかを説明します。
■志望動機の深め方：リサーチ方法
志望理由を説得力のあるものにするためには、大学・学部の徹底的なリサーチが欠かせません。まずは公式ホームページで、学部のアドミッション・ポリシー（求める学生像）やカリキュラムの特徴を確認することは欠かせません。なぜならこの2つが、志望理由書の核になるからです。
次に、各大学でどんな授業が行われているかがわかる、シラバスを読むことが肝心です。そこにある様々な授業から興味のある授業や領域をリストアップし、どんな授業が自らの研究にあっているのか、教授の研究テーマやゼミ活動などを調べると、自らが関心を持つテーマに対する理にかなった学習計画の作成が可能になります。また、オープンキャンパスや講義動画を視聴することで、学部の雰囲気や教育方針をより正確に理解できます。
さらに、興味や問題意識を持つもの、つまり大学入学後に研究対象とするものに対するリサーチも欠かせません。受験生がよく取り上げらるものとしては、格差や差別などが挙げられますが、非それらの理解が表面的なものにとどまるのではなく、より根源的な部分にまでアプローチすることができれば、大学での研究もより具体的で機能的なものになるはずです。
■活動経験の書き方
繰り返しになりますが、高校での活動経験は志望理由書の中で重要な位置を占めます。日本の大学入試では大学での学問との接続が重要視されているのですが、なぜそれを学びたいのかが、単なる思い付きや願望レベルでは意味がありません。強い思いであると裏付けるためには、何らかの活動と結びついていること、つまり大学に入ったらやりたいというのではなく、高校の時にもうすでに行ってきたといった方が説得力は増すのです。
さらには、総合型選抜では活動したという事実が評価されるわけではありませんので、当然ながら活動内容を述べるだけでは不十分です。その活動に取り組んだ理由、そこでの課題や成長などを述べるとともに、大学でどう生かしたいのかを中心に書くと、大学側にあなたの意志の強さが伝わるのです。
ちなみに活動は、部活動・ボランティア・探究・生徒会・資格取得など、基本的にそれらには差がありません。大切なのは、行動の背景にある考え方であったり、考動して何を得たのか、それらを言語化することなのです。たとえばボランティアなら、なぜ参加し → 何に気づき → どのように価値観が変わったのか、こうしたことを書くと、一つの活動があなたの人格を形作った経験、大学で学びたいと思う気持ちの文脈として伝わります。
つまり大学側は、この受験生は探究心があるのかを、活動経験から判断します。そのため、体験の事実よりも学びの文脈こそが最も重要になるのです。
✅二重まるの志望理由書の指導
長期的な指導
当塾では生徒たちに対してすぐに、志望理由書を書かせることはありません。これまでにも述べてきたように、良い志望理由書を作るためには活動や、大学入学後に研究の対象としたいものに対するリサーチが必要になるからです。
よって当塾では、様々な活動へに取り組むことを促すとともに、小論文に取り組むことを生徒たちに勧めています。とりわけ小論文は、志望理由書を書くにふさわしい文章力や構成力が育まれるほか、個々の生徒が研究対象としたいものに対する深い理解を促すことにつながるからです。
とりわけ近年の大学教育では、どんな社会課題に対しても、1つの分野からではなく複数のアプローチが重視されています。たとえば少子化問題にしても、賃金、女性、雇用、奨学金、教育費など、様々な分野からのアプローチが必須とされています。つまり、もうすでに研究テーマが決まっていても、すぐに志望理由を書き始めるのではなく、まずはそうした多面的な知識を吸収し、広く深く研究内容を捉えることが出来る視点が求められるのです。
よって当塾では、活動の促進や小論文の指導から始めることで、良い志望理由書を書き上げる基礎力の育成から始めています。
短期的な指導
志望理由書を書き始めるころになると、まずはテーマを設定しなければなりません。これが、大学側の求めているものとずれていれば、途中で書き直す必要が生じたり、良い結果を得られないことにつながります。よってまずは、どういったテーマにするのかを話し合うところから始めます。
そして志望理由書を書くといっても、いきなり全てを書ける生徒はおりません。途中で添削や相談などを通じて、方向性の確認をしたり内容をより深めたりしていくことになります。こうした指導は個別指導の時間やLINEやzoomなどを通じて、回数の制限なく何度も行えます。
また、どうしても最初から躓いてしまったり、途中で行き詰まる生徒がいることも事実です。そうした場合には、こう書いたらいいのではないか、●●教授はこの分野の研究をしているからこういうことに触れてはどうか？合格者が実際に提出した志望理由書はこれだ、そんな積極的な提案も行っています。
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