AO入試とは?総合型選抜との違いと現在の入試制度
ao入試という名前の認知度は高いものの、それがどんなものであるかに関しては、あまり知られてはおりません。大学入試における推薦入試比率は高まっており、それは私立大学のみならず国公立大学も同じです。そんな推薦入試の1つがao入試であり、ここではそのao入試とはどのようなものであるかを、詳しくご紹介いたします。
目次
- AO入試とは?総合型選抜との違いと現在の入試制度
H2-1. AO入試とは?
ao入試という制度は大学受験においてはもうすっかり定着し、それは推薦入試の1つだということは多くの方が知ることとなっています。しかし、そもそもao入試とは何か?そしてaoとは何の略か?そうした疑問を持つ方も少なくありません。
ao入試のaoとは、admissions officeの頭文字となります。admissions officeを日本語に訳すと、入試課という訳が当てられますが、日本で実施されているao入試とこの入試課とをつなぎ合わせて考えるのは、その実態を余計に分かりにくくしてしまいます。
アメリカの各大学では、admissions office(入学管理局)という部署が入試を取り仕切っています。アメリカの大学で行われている入試制度を、日本に最初に取り入れたのが慶応大学です。慶応大学では1990年に、湘南藤沢キャンパス(SFC)にある2つの学部で学力だけでなく様々な側面から受験生を評価しようと、新たな入試が始まりました。その入試はアメリカの大学の入試制度に倣ったものであるため、ao入試と名付けられました。

H3-1. AO入試の基本的な考え方
実際にao入試ではどんなことが行われていたのか?確かに導入当初は試行錯誤が続いていましたから、いわゆる一芸入試のような側面もありました。しかしながらそれに対する疑問の目も向けられるようになると、ある程度は学力の有無も確かめながら、合格者を決めるというスタイルに変化していくわけです。そして文科省の大学入試改革によって、一般入試が一般選抜と名前が変わったり、センター試験が共通テストと名前が変わったのと同じように、ao入試も総合型選抜と名前が変わっていったのです。もちろん変わったのは名前だけではなく、学力の3要素も必要だとの意見を踏まえ、現状では大きく以下の4つが合否を決める項目となっています。

H3-2. 「人物評価」を重視した背景
既述のように、この入試は1990年に慶応義塾大学で取り入れられたのを皮切りに、他の私立大学で同様の動きが広がり、今では国公立大学でも取り入れられるようになりました。そこには一般入試への疑問が生じたからということが少なからず関係しています。
過去の大学入試で最も厳しかったのは、1992年度入試だといわれています。この年はいわゆる団塊Jr世代が大学入試を受ける時期となり、18歳人口が240万人ほどいる中、およそ半数の120万人が大学受験を希望していました。しかしながら大学の枠はさらにその半分の60万人分ほどしかなく、大学生というだけで高学歴だとみなされる時代でした。よって多くの高校生は、自分の偏差値上昇のために勉強していたわけです。しかしながらそうした偏差値教育にも疑問の目が向けられ、「学歴だけがすべてではない」、「学歴があっても仕事が出来るとは限らない」などという言葉もよく聞かれるようになったのです。そんな中で教育改革の必要性が徐々に世間的にも認識され始め、学力とは別の物差しが大学入試にも求められるようになったわけです。
H3-3. 当時の大学が求めていた受験生像
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H2-2. なぜAO入試は「総合型選抜」へ名称変更されたのか
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H3-1. 文部科学省による制度再編
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H3-2. 評価基準の明確化が求められた理由
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H3-3. 総合型選抜との位置づけの違い
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H2-3. AO入試・総合型選抜・学校推薦型選抜の違い
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H3-1. 提出書類・評価方法の違い
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H3-2. 面接・小論文の重み
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H3-3. 調査書の扱いの差
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H2-4. 「AO入試」で検索する人が多い理由
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H3-1. 過去の制度名が今も残っている
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H3-2. 大学サイトの表記揺れ
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H3-3. 保護者世代の認識とのずれ
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H2-5. 今AO入試を調べる受験生が知るべきこと
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H3-1. 実際に受けるのは総合型選抜または学校推薦型選抜
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H3-2. 必要な対策は「総合型の対策とほぼ同じ」
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H3-3. 最も重要なのは“早期準備”
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H2-6. 総合型選抜・学校推薦型選抜の基礎(内部リンク誘導)
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※各大学別ページへの内部リンクを含める
H3-1. 小論文の基本対策
H3-2. 志望理由書の書き方
H3-3. 面接の流れと対策
H3-4. 事前準備・探究活動(最重要)
H2-7. 二重まる学習塾のサポート(オンライン+対面)
H3-1. 総合型選抜に強い指導
H3-2. 個別の志望理由書添削
H3-3. 小論文・面接の個別対策
■ao入試について
日本のao入試について
ao入試はアメリカ由来であり、その名の元となったadmissions officeというのは入試を運営する大学の部署であることは既述通りです。しかし、日本の多くの大学で行われているao入試のことを分かりづらくしているのは、このaoという名前なのかもしれません。
日本の大学では昔も今も一般入試において、教授が合格者を決めることなど一切できません。受験生と面談をすることもまれだといえるでしょう。しかしao入試では、面接などにおいて教授が合否の決定に関与できるようになり、大学が欲しい人材と受験生とのマッチングが、ao入試であるという説明もなされるほどです。
その際、学部がどのような受験生を欲しているかを知るには、"admission policy"、日本語に訳すと「入学者受け入れ方針」にて確認することが出来ます。このことから、ao入試という名称は、実のところadmission policyの頭文字をとった、AP入試であると解釈した方が分かりやすいかもしれません。
そしてこのアドミッションポリシーというのは複雑です。大学によっても違いはありますが、大学全体でどういう生徒を求めているかを示し、さらにそれに基づいて学部ごとに定めているところ、さらには様々な入試制度がありますから入試制度ごとにアドミッションポリシーを定めている大学もあるのです。
つまり受験生は、可能であれば大学、学部、そして受験する入試のアドミッションポリシーを確認しておくことが求められるのです。
■ao入試の試験内容
大学入試では一般入試以外に推薦入試も行われており、その推薦入試の1つがao入試になります。ではこのao入試ではどんな試験が行われ、どの様なことが合否を決める上で重視されているのか。ここではそうしたao入試の試験について書き記していきます。
ao入試が生まれた背景(慶応義塾大学)
総合型選抜の違い
大学入試改革は入試の名称にもおよび、多くの大学ではao入試を総合型選抜とその名称を変え、現在に至ります。では、ao入試と総合型選抜の違いは何なのか?結論から申しますと、それら名前の違いを定義することに意味はありません。なぜなら特に私立大学では、各大学が独自の基準で推薦入試制度を設けており、名前も自由に設定しています。ですから、この入試と総合型選抜の違いを定義しても、その定義にはあてはまらないケースがかなり多くあるのです。
そもそも、大学入試改革が行われた2020年を境に、多くの大学はao入試という名称を使うのをやめて総合型選抜と名前を変えました。その一方で、慶應義塾大学を筆頭に、明治学院大学や関西大学などでは、いまでもao入試という名称の推薦入試を行っています。
では、これらの大学はなぜいまだにao入試という名称をつかっているのか?まず1つ目に考えられるのは、名称の知名度が考えられます。総合型選抜という名称は今ではもう一般化していますが、入試改革が行われた当初は、やはり総合型選抜というよりao入試という名称の方が高い認知度があり、その方が受験生にもわかりやすいため、その名称を使用し続けたという大学があります。実際に、当初はao入試と名乗っていたものの、今では総合型選抜と名称を変えた大学もいくつか存在しています。次に、総合型選抜と名乗る基準に満たしてはいないため、ao入試という名称を使用している大学も存在します。私立大学はその裁量の幅が広く、文科省の方針に必ずしも従わなければならないというわけではありません。そうした総合型選抜という名を使うにはふさわしくない、独自の方針を貫くという点で、この名称を使用している大学も存在するのです。
ao入試の試験内容
①高校の頃の成績や資格
②英語、小論文、数学などの学力
③高校の頃の活動
④小論文、面接、プレゼンなどで試される思考力や表現力
まず、ao入試はかつて行われていた一芸入試の反省から、学力も必要だということになりました。やはり大学入試においては学力を見る必要性があり、受験生の学力は①で示した高校の成績や、②のような大学で行われる試験にて測られるようになりました。①に関しては高校入学時から受験時までの評定や、取得した資格などを数値化し、得点として加算されます。②は受験する大学や学部によって異なりますが、たとえば外国語学部などでは外国語の能力を測るために英語の試験が、理系の学部の場合は数学の試験が課せられます。さらには一般入試では測ることが出来ない高校時代の部活動やボランティア、さらには生徒会の取り組みも評価されます。そして一般入試と大きく異なるのは、大学の教授が受験生を実際に見て話をするということがこの入試の特徴です。そのために④の小論文や面接などを通して、受験生がどんな人物で何を考えているかなどが入試では重視されるのです。
しかしながら一部の大学では、総合型選抜で測られる学力の3要素すべてではなく、そのうちの一部のみを評価するというケースも見られます。これはすべての入試についていえることですが、とりわけao入試と名付けられている入試に関しては、受験する大学や学部が何を高く評価するか、しっかりと事前にリサーチする必要があるといえるのです。
ao入試に受かる人
まず、推薦入試にはさまざまな種類があり、そのうちの1つがao入試になります。他の推薦入試と比較しますと、大学による違いが大きいのがこのao入試といえるでしょう。それは出願資格や試験内容、さらには評価の幅にまで及びます。したがってこの入試を受験するのであれば、受験する大学のそうした入試の特性を把握することが求められます。
また総合型選抜よりao入試の方が、試される項目が絞られているケースもございます。そのため、一点突破を目指すのであれば、ao入試と名付けられている入試の方が合格の可能性が高まる場合もあるのです。
ao入試に関する質問
■合格率は高いのでしょうか?
これは受験する大学や学部によります。しかしながら一般入試に比べ、倍率は低くなるのが一般的です。そもそもこの入試は出願の時期が9月からとなり、まだ受験に本腰を入れている生徒は少ないものです。なおかつ準備にもある程度の時間はかかるので、一般入試に比べれば募集人数に対する出願者数は少ない傾向にあり、合格率は高まるといえます。
■国公立でも行われているのですか?
国公立大学では、主に総合型選抜と学校推薦型選抜という2つの推薦入試が行われています。このうち総合型選抜という名称の推薦入試が、ao入試だと捉えて良いでしょう。しかし国公立大学で行われている総合型選抜では、共通テストの受験が必要な場合もあります。これは受験する大学や学部によっても異なるため、事前に調べておく必要があります。さらに国公立大学の場合は、総合型選抜でも一般入試でも合格した場合基本的には入学しなければならぬ専願ですので、受験生はそのことを踏まえたうえで、受験を考えましょう。
■併願も可能なのですか?
私立大学では併願可能な大学もあり、合格した場合には入学しなければならない専願の大学もあります。これは1つ1つの大学を調べていく必要があります。しかし国公立大学の場合、ほとんどすべてで、合格した場合は入学しなければならぬ専願になります。
■特別な資格や部活の実績など必要ですか?
これはよくいただく質問です。確かに資格や活動実績を出願資格に設けている大学もありますが、必ずしも必要というわけではありません。資格はなく部活はやっていなかったという生徒でも、難関大学に合格する生徒は毎年います。
■評定も合否に影響しますか?
この入試の合否を決める要素は、面接、小論文、資格など様々あり、評定もそのうちの1つです。しかし大学によって合否に評定がどの程度影響するかは異なります。また評定が同じ数値であっても通っている高校が違えば、学力が同じであるとは言えません。このことから高校の偏差値は影響するのか?といった質問が度々来ます。当塾では多くの大学にこのことを確認いたしましたが、高校の偏差値は影響せず評定の数値のみを見るという回答を得ています。
■欠席日数も合否に影響しますか?
この入試の合否を決める要素は先述の通りですが、実は欠席日数も大きな要素となります。受験資格に欠席日数を3年間で45日以内と決めている大学もありますが、多くの大学ではこうしたことを明記していません。よって感覚的な話になりますが、高校3年間の欠席日数が、難関大学受験の場合は30日以内、中堅大学の場合は45日以内、中下位の大学の場合は60日程度を目安にお考えください。

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